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かき氷とディアストール







 ……そうして、手形が発行されないまま、一か月の時が過ぎた。

「ジェイスさんから連絡はこないしー! ビスタさん何してるの!?」

 エリーゼは宿の室内で荒れていた。手形が発行されないからではなく、ジェイスと連絡が取れないからだった。
 冒険者ギルドと商業ギルドの両方に言伝を残し、ビスタの商会に問い合わせもしたのに、今のところ不在の一点張りだった。

「あーもう、こんなことならすぐに獣人の村に連れていってもらうんだった。せめて場所を聞いておけばよかった……!」

 ベッドの上で枕を抱きしめて悶えるエリーゼの横で、シーザは頭を抱えてうろうろしていた。

「そんなことよりエリーゼ様! このまま宿暮らしだと出費がやばいですって!」
「はあ……そういう問題もあったね」

 エリーゼがベッドにぐったりと沈み込みながら相槌を打つと、椅子にだらんと座ったディータが付け加えた。

「ぼくの調べたところによると、手形の発行業務においてアールジス王国から商売や仕事で出る人間と、逃げ出そうとしている人間を仕分けているようで、逃げ出そうとしている人間は後回しにされるみたいです」
「私は別に、逃げようとしてるわけじゃ……!」
「いえ、姉さんはこの国から全力で逃げ出すべき人間の一人ですよ」

 リールの指摘され、そうかもしれないとエリーゼは自分の立場を思い返した。
まあ、エリーゼらを恨んでいる人間はかなりの数いるだろう。今は恨むべき人間が誰かわからない人たちも、真実を知れば――。
考えないことにして、エリーゼは顔をあげて報告するディータを見やった。

「……それで、何が問題?」
「人数が多すぎてさばき切れていないんですよ。商業ギルドも、魔法使いギルドまで手一杯みたいです。王都との連絡が途絶えた為、この町は三つのギルドの自治によって成り立っているんですが、そちらの業務で手一杯のようで。ただ、だからこそ普通に暮らす分には特に問題はないようです」
「……アパート借りた方がいいかなあ。これ以上長期になると、そっちの方が安上がりだよね?」
「ちょっと探してみますね!」

 そう言って、シーザはぴょんと椅子を降りると部屋を出て行った。
 活気のある町だから、色んな人もいるし、一人で行動するのは危ないよ……なんて常識的なことを彼女に言う人間はここにはいなかった。
 彼女に手を出した人間に合掌である。

「それじゃ、私はもう一度獣耳探しの旅に出る」
「はいはい……ディータはどうしますか?」
「ぼくは引き続きこの町の情報収集を。夜にシーザさんの報告も合わせて、これからどうするか考えましょう!」

 ディータの提案に頷き、夜に集合とシーザにメモを残して、エリーゼたちも外へ出た。




 エリーゼは襟をぐいっと引っ張って溜息を吐いた。
 涼しい風が服の隙間から入ってくれることを期待しての行動だったが、「はしたないからやめてください」とリールに言われたため、エリーゼはパッと手を離して呻いた。

「暑い……」
「もう夏ですからね」
「なんでリール、そのローブ姿で平気な顔してるの? ……まさか魔法!?」
「そんなくだらないことに魔法を使ったりしませんよ……って、姉さん、やめてくださいね。道の真ん中で魔法を使ったら周りに迷惑ですよ!」

 迷惑をかけること自体はどうとも思っていなさそうなリールは「面倒を起こすのはやめてください」とものすごく嫌そうな顔をして言った。
 確かに魔法は効果範囲がわりと大ざっぱなところがある。
 集中すればできなくもないけれど、一度呪文を唱えた後はオートで動く、とはいかない。
歩いていく自分に、常に涼しい風が来るように調節し続ける。古代語でやろうとしたら、細かいコントロールを秒単位で続ける必要がある。
やるとしたら古代星(ルーン)語で、精霊と常におしゃべりし続けるような形になるだろう。

「この暑い中、精霊としゃべりたくないなぁ……」

 独り言を言うような形になるのならともかく、言葉が返ってきたら面倒だ。
 エシュテスリーカなら知らない仲ではないけれど、彼から返事がきてもさらに面倒なことになるとしか思えない。
 この暑い中、レベルを上げないと死ぬだのなんだの、面倒くさい話は聞きたくないし、他の精霊に妨害されて不愉快な気分になるのもごめんだった。

「どうあがいても面倒……」
「だったら諦めてください」
「……はあ、まずは冒険者ギルドに行こうか」

 エリーゼが最近未練たらしく冒険者ギルドに通い詰めているので、受付のおばさんとはよく雑談をしている。
 その中で、おばさんがギルドに雇われただけの近所のおばちゃんであることも判明している。
 門番しかり、受付のおばちゃんしかり、誰でもできる仕事は臨時職員にさせ、ギルドの本職員は何やら忙しそうにしている。
 冒険者ギルドに到着すると、エリーゼはさっそく「おはようございまーす」と声をかけ、しばし受付のおばさんと雑談した。

「大変ですねえー。でも、私も早くリヴァーサ王国に行きたいんですけど」
「リヴァーサはある意味アールジス王国より危険ですってよ~。東のあの山が低くなった、谷のあたりから、デルタ帝国に攻められてるんですって」
「未だ攻めてきてるんですか? 十年ぐらい前からずっとじゃないですか」
「ちょこちょこ止んでたこともあるのよ、でも終わらなくて。難民が流れてくるし、可哀想だし困るわよね~」

 エリーゼは嘆息した。昔バターレイによく出入りして色んな子供たちと話していた時に、リヴァーサ王国の子と話したこともある。
 その頃からずっとデルタ帝国はリヴァーサ王国を執拗に襲っているらしい。
 ……悪魔信仰と関わりがありそうなデルタ帝国に狙われ続けているリヴァーサ王国に、エリーゼは同情めいたものを感じた。

「それと、まだビスタ商会から連絡はないわね~」
「そうですかあ……ありがとうございます」
「ごめんねえ、エリーゼちゃん、力になれなくて」
「いえいえ」

 エリーゼがカウンターから離れると「おばちゃーん、依頼達成したよー」と若い男の冒険者の団体がやってきた。
 おばちゃんはこの町の冒険者に愛されている。
 つくづくアーハザンタスの脛に傷がありまくりそうなギルドマスターの常駐している冒険者ギルドとはとんでもない違いだと思いつつ、エリーゼはリールと共に冒険者ギルドを出た。

「ここのギルドマスター、見たことないね」
「忙しいんでしょう。アーハザンタスのギルドマスターが異常なんですよ。仕事はあるでしょうに」

 リールも、ここのギルドマスターとアーハザンタスのギルドマスターの質の違いについては思うところがあるようだ。

「それにしてもー、暑い!」
「次は商業ギルドですね」

 リールは苛々した口調で言った。涼しい顔をしているけれど、どうやらリールも暑くないわけではないらしい。
いつもより沸点が低いのを感じて、エリーゼは口を噤んだ。
 けれど、そんな自重もすぐに飛んでいった。日本の夏のように蒸し暑くはないけれど、だとしても暑いものは暑い。

「服を脱ぎたい……水着になって泳ぎに行きたい!」
「なんですか? 水着って。嫌な予感がするのでやめてください」
「止めるなら見てからにしてよね!」

 そしてきっとリールは止めるだろう。本物の水着を見たら……。
 エリーゼもこの世界で生きて十五年だ。基本的に女性が肌を露出するのは眉を顰められるようなことだと知っている。
 女冒険者として開き直ってしまえばまた話が違うだろうけれど、リールはエリーゼがビキニを着ている姿を見れば絶句するだろう。
 この、薄着を許さない文化こそが暑さの一番の敵である。

「リールは男の子だから素っ裸になっても大丈夫だね……羨ましい」
「男が往来で裸になったら捕まりますよ。姉さん、商業ギルドで一旦休みますか?」

 体力的には問題なかったエリーゼだったが、商業ギルドにも言伝がなかった為、リールの提案に従いベンチに座ってぐったりしていた。
 そうしたら、リールが水を持ってきてくれた。
 水の入ったコップを手に取ったエリーゼは、的確な言葉で精霊に呼び掛けた。

<水を凍らせて削れ(かきごおり)!>

 エリーゼが古代星(ルーン)語で呪文を唱える。すると、コップから浮いた水がキンと空中で凍り付き、次の瞬間、自転しながら削れていった。
 シャリシャリシャリ……という音と共にコップの中にかき氷が降ってゆく。

「やったー!」
「ね、姉さん……貴女は今とてつもなく愚かなことに精霊魔法を使いましたよ。わかってます?」

 エリーゼはリールの言葉を「んんー」と聞き流しながら、できあがったかき氷を、携帯していたスプーンで試食した。
 ジャリジャリしているごく普通のかき氷だった。家庭でも作れそうな舌触り。シロップがないのが心残りだ。
古代魔(ルト)語で意味を足せば、フワフワの上級かき氷を作ることさえ可能かもしれない……とエリーゼは企みつつも黙っておいた。
 リールの視線は依然として厳しい。

「ほら、リールもあーん」
「……ん、冷たいですね」

 味なしかき氷で身体を冷ましたエリーゼは、少し元気になって、今度はビスタ商会の商店に向かった。
 よく通っているのに、グダマルダから話が通っていないのか、ビスタ商会の店員には何故か警戒されている。

「私たちと別れてから、ビスタさんたち商店に戻ってないみたいだよね?」
「……何かあったんでしょう。ですが、問題になっていれば、噂が回っているはずです」
「うん、きっと、そうだよね」

 ジェイスが見つかってしまったというのであれば、精霊神教会が声高に獣人について騒ぎたててもおかしくない。
 何かあったら頼るようにとグダマルダに伝えていることを思い出し、エリーゼは便りがないなら元気なのだろうと思うことにしている。

 ビスタ商会の店員の警戒を解く方法がわからない。
 店員がジェイスを隠すためによそ者であるエリーゼたちのことを警戒しているのであれば、ジェイスの存在を言うだけで済むのだけれども。
 店員がジェイスの存在を知らなかった場合、ジェイスたちに迷惑がかかるため、カマをかけるのもはばかられるような状態だった。

 とりあえず、今日は外からチラっと様子を見るだけにしようかと考えていたエリーゼは、ビスタ商会の方から騒がしい声が響いているのに気づいて、商店の通りに入る手前で立ち止まった。いつも、この辺りはもう少し穏やかな喧噪に包まれている。
 リールもほぼ同時に立ち止まった。けれど、リールが立ち止まったのは別の原因によるものだった。

「……尾けられていますね」

 リールが低い声で囁くから、エリーゼは目を瞠った。
 振り返ったりという、尾行者にあからさまに気取られるようなことはしない。
 立ち止まったまま、エリーゼは意識してみる――けれど、リールの言う気配を感じ取れなかった。

「あれ、本当に尾けられてる?」
「……わからないんですか? 【気配察知C】で? ……その建物の影にいたんです。先ほども見ました。二度視界に入らなければ気づけなかったと思います」

 リールは低い声で、囁くように言った。偶然、目に入ったのでいるとわかったという。
エリーゼも尾行者にバレないように気配を窺う。でも、わからなかった。やはり、感じ取ることができない。
 エリーゼは不安の為にザッと胃のあたりから血の気が引いていくような感覚に襲われたが、ビスタ商会の方も騒ぎが大きくなっていて、不安に落ち込み続ける時間がなかった。

「やめてください! 今会長は不在にしておりますので、どうかお帰り下さい!!」

 ビスタ商会の店員が叫んでいた。店員たちが対峙している人物を見て、エリーゼはあっと息を呑んだ。
 偉そうにふんぞり返る、キンキラキンの姿には見覚えがあった。

「えーと確か、ディアストール商会の」

 ロワーズに入る前に、ビスタ紹介の荷馬車に絡んでいた男だった。
 獣人であるジェイスが危うく見つかりかけて、グダマルダはきっと内心肝を冷やしていただろう。
 あの時はなんとかかわしたというのに、まだあの男はビスタ商会を嗅ぎまわっているらしい。
 ……何かに感づいているのだろうか。

「ディアストール商会の支部長だとか言っていいた男ですね。どうします、姉さん?」
「割って入る!」

 争いの原因がなんであれ、あのディアストール商会の支部長を止めないと、中に獣人を匿っていた痕跡がある場合、大変なことになりかねない。
 それが原因で、獣人たちが永遠に人里から離れた場所に引っ込むようなことになったら、エリーゼは血涙を流すかもしれない。

「万が一面倒なことになったら、デザイートスさんに泣きつきに行こう!」
「そこまでの面倒になる前に逃げますよ、姉さん」

 サササと走っていき、エリーゼは店の品物の山を乱暴に崩していたディアストール商会の男の後ろに立って「やめてください」と声をかけた。
 急に現れたエリーゼとリールの姿に、店員たちもディアストール商会の男も目を丸くした。

「なんだ、君は? ……見覚えがあるな。確かビスタ商会の会頭といたね!」

 店員から、本当にそうなの? と言わんばかりの視線を向けられた。
エリーゼが店員を訪ねて、グダマルダの知り合いだと言っても信じなかったけれど、第三者の言葉なら信じられるらしい。
エリーゼはこくりと頷いて、二者に応えた。

「また邪魔をするのか。貴族なのだろう? だったら、アールジス王国のために、怪しいヤツを摘発すべきだろう!」
「怪しいって、一体何が怪しいんですか! 誰だって怪しいって決めつけられて、勝手に荷物や家を漁られそうになったら嫌がりますよ!」
「私にはわかるんだよ……こいつらは何かを隠している……邪教徒を匿っているかもしれない!」

 店員がぎくりと動揺したのがエリーゼにはわかった。
 確かに彼らは匿っている……今のところ、それが邪教徒ではないとエリーゼは知っている。
 だから、エリーゼは咳払いをしてから、宥めるように言った。

「悪魔信仰者を匿っている人がいたら、私も絶対に許さない。けど、何故この人たちを疑うのか、証拠をはっきり出してもらわないと、私としてもここを動く気にはなれません!」
「君の悪魔信仰者を厭う気持ちは本物かな? ……どうだかねえ!」

 特に証拠をあげるでもないディアストール商会の男。
彼に鼻で笑われたエリーゼは、悪魔信仰者を摘発しようとする人間が必ずしもエリーゼにとって正義ではない可能性に思い当り、目を細めた。

「……私はエリーゼ、エリーゼ・アラルド・ハイワーズ。あなたの名前は?」
「私はアキム・ディアストール。この町で知らない者はいないだろうね」

 その名を聞いて、エリーゼは目を瞠った。
 ディアストール。商会の人間だとは聞いていたけれど、まさか苗字にまでその単語を冠しているとは思わなかった。
 それは、かつてトランプの販売の権利を占有していた三商会の内の一つの名前だ。
 そして、ある時正体不明の積み荷をアーハザンタス内部へと運び込んだ商会の一つでもある――エリーゼは、低い声で続けた。

「ディアストールさん、いえ、アキムさん……もし、悪魔信仰者や、悪魔信仰者を匿っている人を見つけたら、冒険者ギルドを通じて教えてください……必ず駆けつけて討伐に協力しますから」
「冒険者なのかい? 後で法外な見返りを求められても困るしねえ」
「そんなものはいりません」

 どうやらディアストール商会の、より上の立場にあるであろう男を、エリーゼは睨むように見据えた。

 彼が本心から悪魔信仰者を探しているのであればいい。ビスタ商会については、家探しされるのは困るけれど、その問題は穏便に済ませようとエリーゼも努力しようと思う。
 けれど、もしもディアストール商会が悪魔信仰者を匿う為に、誰かに濡れ衣を着せようとしているとしたら?
 ――ビスタ商会とソマリオラ商会の疑いがある程度晴れている今、ディアストールがあの忌々しい刻印を額に刻んだ男たちの支援者である可能性がとても高い。
 だからこそ、エリーゼは強い言葉でくさびを打ち込んでおくことにした。

「私は、悪魔信仰者に殺されかけた。許さないと誓った。絶対に、絶対に見つけたら今度こそ私が叩き潰す!」

 おまえがそうなら、または協力者なら、叩き潰してやるという気持ちでエリーゼは叫んだ。
 途端、アキムは弾かれたように後ずさりし、その後、怯えたように後ずさりした自分の身体を信じられないという顔で見下ろし、顔色を変えた。

「な、なんなんだ、君は……!」

 言葉にならない言葉を呟きながら、アキムは戸惑った顔をして、逃げるようにその場を立ち去った。
 もしかしたら、エリーゼの恩恵(ギフト)である【警告】か何かが発動していたかもしれない。
どんな作用をしたのかが不明なせいで、あの男が後ずさりしたのが図星をつかれたためなのか、怯えていただけなのか、判別できない。

「……逃げられた」
「上出来でしょう。姉さん、顔恐いですよ」
「えっ、わー!」

 リールに眉間を突かれてエリーゼは悲鳴をあげた。

「ほら、かき氷でも食べて落ち着いたらどうです?」

 エリーゼが目を開けると、リールは水袋からコップに水を移してエリーゼに差し出した。
 すでにエリーゼが食べる為のスプーンも取り出してくれている。エリーゼは暫く腹の底をのた打ち回る怒りを抑え込むことに集中していたが、治まってくると、リールいわくとてつもなく愚かなことのために、呪文を口にした。

「それじゃ……<水を凍らせて削れ(かきごおり)!>」
「冷たそう……」
「うん?」

 思ってもいなかった場所から声が聞こえて、エリーゼはシャリシャリ削れる氷にコップを掲げつつ、首だけ回して振り返った。
 すると、物陰に隠れるツインテールの少女と目が合った。
 真っ白な肌に、艶々の紺色の髪、夜明けのまだ暗い空のような藍色の目が不思議になるぐらいキラキラしている。

「え? 超美少女?」
「わっ……ごめんなさいなんでもないです!」

 美少女は真っ白な肌に朱を散らし、すぐさま逃げ出そうとしたけれど、リールが逃亡を阻止した。

「姉さん、ボクらを尾行していたのはこの女のようです。この青い髪の毛が、チラチラと視界に入って鬱陶しくて」
「わーわー!」

 リールがわーわー言ってる美少女の髪の毛を掴んで捕獲していた。
 並べてみると、美少女はリールよりも幼く見える。十三歳ぐらいかもしれない。

「リールと美少女……とても絵になる……」
「姉さん、うっとりしている暇はないですよ。……この女は姉さんでさえ気づけなかった尾行術の持ち主なんですから」
「そうかあ……まあ気づくだけなら足音もさせないディータの尾行もわかるしね」
「えっ」

 反対の建物の影から意外そうな声があがったけれど、エリーゼもリールも特にそちらへ視線を向けたりはしなかった。
 ディータは自分が申告している通り、町の情報収集もしている様子はある。
 けれどたまにエリーゼたちを尾行もしている。エリーゼの気配察知能力がなければ、リールにさえわからない技らしいから、ディータはある意味優秀だ。

「それじゃまず……かき氷食べる?」
「はい!」

 頷いた美少女に逃亡の意志がないのを見て取ったリールは、彼女の髪を離してやっていた。
 そして、シャクシャクとかき氷を食べはじめた美少女から、エリーゼたちは尾行の目的を聞き出すことにした。








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